同人誌を印刷するのがもっともっと楽しくなる!同人誌の印刷について、印刷する用紙の選び方、同人グッズの制作、入稿に関して、皆様が気になるあんなことやこんなこと!お役に立つコラムを更新します!!
ホープの真実 同人誌はこうして作られる② ―印刷・オフセット印刷編―
2017.09.08
創業30有余年。
同人誌印刷所として、永い間皆様と共に歩んできたホープツーワンが、もっと私たちを感じて欲しい!と、ほおぷちゃんコラムを借りて私たちの日頃の活動をご紹介する第二弾。
オフセット印刷の真実
第二弾の今回はオフセット印刷について。
まず、オフセット印刷についてのご説明を。
オフセット印刷というのは水(湿し水)と油(インキ)の反発作用を利用して、紙にインキを転写する印刷方法です。
製版された版は親水性、印画部が親油性という仕組みになっています。
オフセット印刷機は軽オフセットと重オフセットとに分かれるのですが、(すごく簡単に言うと印刷機械の大きさの違いです)ホープツーワンでは軽オフ・重オフを使い分けることで生産性を高めています。
印刷を左右するところにこそ技術あり
オフセット印刷は原理上、版上に常に湿し水が必要です。
この湿し水はオフセット印刷の原点ともいわれ、調整は印刷品質にも大きく作用します。
ホープツーワンの軽オフは、モルトン式という給水システムです。
現在主流なのは連続給水システムなので、モルトン式はちょっと旧式。
他の印刷屋さんから見れば
「玄人やなぁ!」
と必ず驚かれる方式なのですが、旧式だからといって現行のシステムに劣るかというとそうではありません。
ランニングコストの面で優れており(料金にも反映される要素です)、常に一定の給水を要する連続給水システムに比べて、水の量をギリギリまで絞れるモルトン式のストライクゾーンは狭いといえます。
狭いがゆえに熟練の技術が必要ですが、連続給水システムに比べてシャープに仕上がるのも長所です。
ホープツーワンでの表紙の単色・多色刷り、本文印刷(小部数)は全てこのモルトン式の印刷機で行われます。
ホープツーワン印刷スタッフはこのモルトン機の扱いに関しては、他のどの印刷所にも負けない熟練の技と生産性(とにかく早い!)を持っていると自負しております。
多色刷りならおまかせあれ!
多色刷りについてもう少し触れますと、原稿がアナログからデジタルへと移行して毛抜き合わせデータ(例えば青ベタの白抜き文字のところに赤文字をぴったり合わせるようなデータ)が増えてきました。
前述した通り、印刷には水が欠かせません。
そして水を使えば版も紙も少しずつ枚数を重ねる程伸びていきます。
その伸び具合も水の量など様々な条件下で異なってきますので毛抜き合わせは位置を合わせるのが非常に難しく、中には「無理だ」と言う印刷所もかつてはありました。カラー機でカラーとして印刷する所もあるようです。
しかし我々ホープツーワン印刷スタッフは研究を重ね、かなりの精度で合わせることができるようになりました。
最近では多色刷りの需要は減ってきてしまい、カラーデータの方が増えてオンデマンドカラーを選択される方が多くなってきました。
多色刷りはセンスが必要で難しい、と敬遠されている方もいらっしゃるようですが、機会があれば一度挑戦してみてはいかがでしょう。私たちが熟練の技で全力サポートいたします。
体力勝負
軽オフセット機に対して、重オフセット機なのですが、こいつはとにかくデカイ。
すごく、大きいです。戦車並みの大きさで、そのフォルムから、いつかトランスフォームするんではないかと妄想にふけることもあります。
ホープツーワンではロットの大きい本文印刷に大活躍の重オフセット機ですが、こちらは大径多数のインキローラーでインキを載せてくれるので技術的には難しくありません。どちらかというと体力勝負な印刷機です。
というのも通す紙が大きく、通す枚数も多いので、たくさんの紙を運んでは積み、刷っては降ろしと、体力とパワーがものを言う世界です(一束15kgぐらいある紙の束を肩にかついで走ったりも)。
とはいえ、もちろん技術の向上は日々研鑽しております。
ホープツーワンとしての品質を
ここまで湿し水を中心に力説してきましたが、オフセットは水の調整ばかりではありません。インキの特性についても熟知しなければいけませんし、用紙による再現性など、日々の研究材料は山積みです。
こうしてオフセット印刷部門は、軽・重問わず、個人的スキルアップだけでなく、スタッフ間での情報共有やノウハウ伝達などで、会社としての品質そのものを上げようと取り組んでいます。
品質向上にゴールがあるとは考えていません。どうすれば今以上によい品質をご提供できるのか、毎日が勝負です。
余談ですが
最後に、余談ですが「インキ」。
「インキ」と「インク」は発音表記の違いだけで意味的には同じです。
印刷資材でインクと呼称しているインキメーカーが無いところをみると、業界では「インキ」呼称で統一されているようです。
ホープツーワンでも当然「インキ」と呼んでいます。